体内時計を整えることは、良質な睡眠にとって欠かせません。朝の光を浴びて体内時計をリセットすることが重要なのは前回ご紹介しましたが、起きて活動している日中の過ごし方にも、体内時計を整えるためのポイントがあります。

恒常性維持機構は、脳や肉体の疲労を感じると、健康を維持するために睡眠をとるよう働きかけます。この眠ろうとするタイミングで、メラトニンが分泌されると、心地よい眠りに誘われます。

しかし日中の活動が少なく、脳や肉体の疲労が感じられないと、恒常性維持機構が眠る必要性を感じないので、眠気がなかなか訪れません。日中は脳や体を動かして活動的に過ごすことが大切です。慢性的な寝不足で何となく体がだるい、ランチを食べると眠くなるという人は、昼寝を上手く活用しましょう。

実はランチ後の14~15時に強い眠気を感じるのは、食事が原因ではなく体内時計のシワザです。睡眠リズムの波は夜に最も大きくなりますが、ランチ後にも、なかなかの波がやってきます。

最近は「仕事の効率が上がる」という理由で、昼寝を取り入れている企業も多く、社員食堂の一角などにシエスタルームを設けているところもあります。15~20分昼寝をするだけで、スッキリして午後も活動的に過ごせます。ただ昼寝で体の疲れを解消してしまうと、夜寝付けなくなるので、15時迄・30分以内にしましょう。

体内時計のズレを直してくれるセロトニンは、私たちの睡眠に大きな影響を与えています。セロトニンは「ノルアドレナリン」「ドーパミン」と合わせて、三大神経伝達物質と呼ばれています。精神の安定や心の安らぎなどをコントロールしていることから、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。

セロトニンの働きは大きく分けると2つあり、ひとつはノルアドレナリンとドーパミンの制御です。ノルアドレナリンは恐怖や不安、怒りなどの感情に関係しており、ドーパミンは快楽や喜び、攻撃性などに関係しています。

ノルアドレナリンが過剰になると、恐怖や不安を感じやすくなるので、うつ病や不眠症、パニック障害などにかかりやすくなります。反対にドーパミンが過剰になると、快楽ばかりを求めてしまい、買い物依存症やゲーム依存症、アルコール依存症など、依存症になりやすくなります。

セロトニンのもうひとつの効果が、眠りの質を上げる働きです。睡眠ホルモンのメラトニンは、セロトニンがつくりだしています。メラトニンとセロトニンは相互関係にあるので、セロトニンが減少すると、メラトニンの分泌も減ってしまいます。

現代人は世代を問わず、このセロトニンが不足しているといわれています。セロトニンが不足する原因は、日光・運動・栄養の3つの不足です。不規則で昼夜のメリハリのない生活をしていると、セロトニンは活動を弱めて分泌量が減ってしまいます。

セロトニンを増やすには、日中の外光を浴びること、セロトニンの原材料であるトリプトファンを摂ること、そしてリズミカルな運動が有効的です。ウォーキングやジョギング、踏み台昇降運動など、リズムを刻む有酸素運動は特に効果的です。

また、セロトニンは脳の縫線核(ほうせんかく)というところに集中しています。首のストレッチをすると、そこを刺激するのでセロトニンの分泌を促してくれます。

健康的な日常が、体内時計を整えて、私たちに快眠をもたらします。脳と体を動かす活発な生活、規則正しい生活、適度な運動を心がけましょう。