「何時間眠ればいいの?」理想の睡眠時間について多くの人が疑問に思っているはず。「8時間睡眠が理想」とか「90分の倍数で眠るといい」とか、いろいろな説がありますが、本当のところはどうなのでしょうか?

結論から言うと、必要な睡眠時間は人それぞれです。環境や年齢によって変化するものなので、睡眠時間に決まったルールはないのです。ですから8時間睡眠説には全く根拠がありません。「人間は人生の3分の1を眠って過ごす」という言い伝えから24時間を3で割り、切りのいい8時間としただけでしょう。

同じ理由で、90分の倍数説も意味がありません。この説はノンレム睡眠とレム睡眠のセットが、約90分であることを根拠にした考え方です。90分の倍数を睡眠時間にすれば、セットの区切りのいい時間だから目覚めやすいというわけです。しかし、ノンレム睡眠とレム睡眠の周期は人によって違います。

90分はあくまで平均値で、80分の人もいれば、110分の人もいます。そのうえ、ノンレム睡眠とレム睡眠の配分も一定ではなく、明け方近くになるとレム睡眠が増えてきますので、最適な睡眠時間を割り出すのは容易ではありません。

睡眠は変動が大きく個人差があるので、自分にとって理想的な睡眠時間を見つけることはとても難しいですが、最近、ノンレム睡眠とレム睡眠の周期を測ったり、睡眠時間や満足度などを計測してくれる、睡眠専用時計やスマホ用アプリなどが開発されています。

これらによって得られる記録は、週ごとや月ごとにデータ化されていて、自分の睡眠の傾向がつかめるので、必要な睡眠時間を割り出すヒントになるかもしれません。しかし、もしわからなかったとしても気にすることはありません。

日中眠くならず、元気に過ごせれば、睡眠時間は足りているといえます。決まりごとにとらわれて、「…しなければ」と思う方が、ストレスになって睡眠の質を下げてしまいます。
時間にこだわり過ぎず、良質な睡眠をとることの方が大切です。

睡眠時間にこだわって、平日の睡眠不足をとり戻そうと、休日に寝貯めをしていませんか?長時間ダラダラ寝ていても、疲れはとれません。睡眠の後半になるとノンレム睡眠は現れず、浅いレム睡眠が続くだけなのです。

レム睡眠は、自律神経が不規則になりやすく、脈拍や血行が不安定になります。その状態で長時間眠ると、血管や心臓に負担をかけてしまい心臓疾患のリスクが高まります。

私たちの体の中には、体内時計の他にもう一つ、睡眠の質を左右するメカニズムがあります。それは「恒常性維持機構」と呼ばれるもので、体温を一定に保ったり、傷を治したり、体内のウィルスを排除したり、体の状態を一定の状態に保つための仕組みです。

この恒常性維持機構は、健康を維持するために睡眠の質を自動的にコントロールしていると考えられています。脳や肉体の疲労に応じて、睡眠時間が短くてもノンレム睡眠の量を増やし、効率的に睡眠不足を補うように働きます。ですから、普段6~7時間きちんと眠っていれば問題ありません。

何よりうっかりお昼過ぎまで寝てしまうと、夜になっても眠気が訪れず、体内時計が狂う原因になってしまいます。ツライ月曜の朝を迎えるのはイヤでしょう?疲れていてどうしても長く寝たいなら、普段起きる時間の2時間までにしましょう。